骨折

骨折 ハヤカワ・ミステリ文庫 1-11 競馬シリーズ
ディック・フランシス (著), 菊池 光 (翻訳)

いわゆる競馬シリーズ.読んでみてわかったが,全然シリーズじゃなさそう.著作のどこかに競馬との関わりをちりばめる著者は,元競馬のチャンピオンジョッカーだとか.犯罪ものかハードボイルドか,と思って読んだが,全然違っていて,入院した父に替わり厩舎の面倒を見る主人公と息子に冷たい父親,騎手志望のわがまま息子と息子のためには手段を選ばない狂信的な父親というそれぞれの父子関係を描いた成長物語でありました.主人公が年齢の割に老成しているので驚きですが.良かったです.翻訳が今ひとつだが,このシリーズ,全部同じ翻訳者だね.大丈夫かいな.

「どのレースでもぶざまな失敗をしたからといって,決して失望してはいけない.誰でも時にはやることだ.単に自分の失敗を認めればよいのだ.絶対にうぬぼれてはいけない.人の批評に動揺してはならない.また,ほめられたからといって決していい気になってはいけない.競馬場にいる間は常に自制することだ.癇癪玉は帰る途中でいくらでも破裂させればいい.

「君の父親に対抗する方法は,報復の有利性が逐次減少する分野の範囲内で,彼の命に背き,あらゆる機会を利してその分野を拡大してゆくことだ.」














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