『希望の国のエクソダス』取材ノート

snmocha2006-10-23

希望の国エクソダス』取材ノート (単行本(ソフトカバー))
村上 龍 (著)

単行本(ソフトカバー): 221ページ
出版社: 文藝春秋 (2000/09)
ASIN: 4163565302
サイズ (cm): 19 x 13

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集団不登校から始まり、最終的に新たな生き方を大人たちにつきつける中学生集団を中心に展開する小説『希望の国エクソダス』。設定は奇想天外だが、教育、通貨危機、IT革命、社会システムの崩壊、老人問題、環境破壊など、日本の社会的背景を克明に書き込んであるため、絵空事として片づけられないリアリティーに満ちている。著者はどのようにして日本の近未来シミュレーションの情報を手に入れたのだろうか。本書は、小説世界を支える情報源となった取材インタビューを収録したものだ。経済学者や為替ディーラー、文部省官僚、インターネット起業家、暴走族、大学教授など13人の事情通が、村上龍の構想に基づいて、近未来の日本の姿を構築するためのデータやアイデアを提供、物語のクライマックスとなる通貨危機のアイデアや、印象的なキャラクターの出どころをうかがわせる興味深いインタビューも含まれている。フィクションでありながら、意外な描写が、取材した情報に基づくノンフィクションであったりもする。物語の展開上、作者が説明しきれなかったであろう部分も、インタビューのなかで詳しく語られている。とくに経済や為替に関する部分をより深く理解する手助けになるだろう。シミュレーション小説のメイキングとして楽しめると同時に、現在の日本社会を考察する手引きとしても、格好の書といえる。(栗原紀子)

出版社/著者からの内容紹介
希望の国エクソダス』はどんな取材を経て誕生したのか。中学生から官僚まで、生の声を敢えてまとめた刺激的なインタビュー集