我々はどこへ行くのか―あるドキュメンタリストからのメッセージ

著：川良浩和
出版社：径書房
定価：2310円

NHKスペシャルのプロデューサーで１５０本ものドキュメンタリーを制作した川良氏の著作．制作したドキュメンタリーの一本一本にどんな思いがあるのか伝わってくる．西成高校の生徒が広島の被爆者と交流するところから始まり，チェルノブイリやボスニア紛争，ベルリンの壁崩壊，キューバ危機に，９／１１と，危機に直面した世界がどのように動いたかを「鳥の目と虫の目」で描こうとする．著者がどのように作品を作ってきたかというところも興味深いが，一つ一つの事件が全体としてつながっているとしか思えない．タイトルは「我々はどこへ行くのか」であるが，こんな危機の連鎖のさきにはたして幸せな世界がまっているのだろうか．暗澹たる思いです．