遠い太鼓

07e6ba89.jpg 村上春樹のヨーロッパ滞在記,「遠い太鼓」読了.何回目の読了だろうか.僕の本棚にはオリジナル版と文庫版の二冊ある.
 最初に読んだのは今の会社に入った頃だからもう15年近く前か.2,3年ごとに読んできたはずで,その時々に心に残るところは変わってきた.今回読んでみて,「はじめに」という著者のことばに気がついた.


四十歳というのは,我々の人生にとってかなり重要な意味を持つ節目なのではなかろうかと,僕は昔から(といっても三十をすぎてからだけれど)ずっと考えていた.
(中略)
四十歳というのは一つの大きな転換点であって,それは何かを取り,何かを後に置いていくことなのだ,と.そして,その精神的な組み替えが終わってしまった後では,好むと好まざるとに関わらず,もう後戻りはできない.
(中略)
それまでは比較的簡単にできると思ってやっていたことができなくなってしまうのではないかと.
(中略)
だからこそそうなる前に,-僕の中で精神的な組み替えが行われてしまう前に-,何か一つ仕事をして残しておきたかった.


 村上春樹は四十になる前に「ノルウェーの森」を書いてこういう生活をしていたわけだ.あらためて気がついた.

さて,あと6ヶ月で四十歳だ.やれやれ.