脳と仮想 - 情報障害

茂木健一郎
新潮社
460円

時折テレビで見かける人だが，ソニー研究所のシニアリサーチャーですか．一体どのような研究をしているのだか．本書はそれほど専門的につっこんだ話しを述べているわけではありません．どちらかというと別の媒体でも述べられているような考え方かなと思います．述べられている一つめは，仮想と現実は脳にとっては同じ物であるという点，ふたつめは他人の心は絶対不可視であるという点です．この二点が（他にもいろいろと書かれていることはありますがこれが本書の基本点だと思うのですが）再三形を変えて述べられています．二点ともごく自然な当然のことと思ってしまうのですが．どちらかというと何で今更とすら思います．「本当の現実」なんてものは「仮想」と区別がつかない．

この方，元は物理系出身のようですが，引用は小林秀雄に夏目漱石にワーグナーにと多種多様です．あるソフト屋さんの書いたエッセイ集として読んでみてはいかがでしょうか．