イヴの七人の娘たち

snmocha2006-09-27

イヴの七人の娘たち (単行本)
ブライアン サイクス (著), Bryan Sykes (原著), 大野 晶子 (翻訳)

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我々はどこから来たのか? そんなことをふと思い浮かべたことはないだろうか。この答えの鍵を握るのが、DNAである。DNAはどんなに長い年月を経ても、消えることもなければさびつくこともなく、朽ちることもない。我々の中で息づく、古代世界からの旅人なのだ。
人類は皆、20万年前のアフリカ女性「イヴ」の子孫であるといわれている。オックスフォード大学で遺伝学の教授を務める著者はさらに、6億5000万人にのぼる現代ヨーロッパ人の母系祖先は7人の女性に分類できるとしている。この女性たちに名前をつけると、アースラ、ジニア、ヘレナ、ヴェルダ、タラ、カトリン、ジャスミン。それぞれ、別の時代に別の場所で生活を送っていた女性たちである。

ミトコンドリアDNAには、母親からしか受け継がない、遺伝子の組み換えが起こらないという2大特徴がある。このミトコンドリアDNAをたどっていけば、ヨーロッパ人の誰もが、自分の祖先を知ることができるのである。そして、人類の歴史―― 我々はネアンデルタール人の末裔なのか、はたまたクロマニョン人の末裔なのか―― を知ることができるのだ。

本書は、こうした研究、発見にまつわる裏話と、それがヨーロッパにかぎらず世界中の人々にとって意味するものを明らかにしている。そして、ホモ・サピエンスの歴史が遺伝子に記録されていった道筋について語っている。

誰もが人類の歴史を遺伝子の中に秘めている。その歴史は、はるか昔の祖先から、実質的になんら変わることなく受け継がれてきたDNAパターンの中に含まれているのだ。人間の細胞はすべて、そうした驚異的な旅を乗り越えてきたもの、つまり遺伝子を運んでいるのである。これは大いに誇りに思うべきことだと著者は言い切っている。そして、本書はユーモアをもって現代ヨーロッパに潜伏する人種差別主義を批判しているのである。我々は、母をたどっていけば誰もがつながっているのだから、と。(冴木なお)

出版社/著者からの内容紹介
遺伝子解読---人類をつなぐ固い絆があきらかになった。 欧米で話題騒然のノンフィクション!
四万五千年前、地球が氷河で覆われていた時代、イヴに一人目の娘アースラが誕生した。それから三万九千年後、七人目の娘ジャスミンが生まれた頃、農耕生活がはじまっていく。地平線の向こうに何が待ち受けているのかわからなかった遙か昔、アースラ、ジニア、ヘレナ、ヴェルダ、タラ、カトリン、ジャスミンのイヴの七人の娘たちとその一族は新たな大地へと踏み込んでいった。
遺伝子学者のブライアン・サイクスが、五千年前に死んだ人体の化石をきっかけにミトコンドリアDNAの重要性を発見した。遺伝子科学が神の領域に迫り、わたしたちの肉体に宿る遺伝子を何千世代、何百万世代も遡り、ついに現代人の共通祖先を探しあてた。
従来の定説を覆し、驚愕の事実を明らかにするまでの不断のチャレンジと「知」の格闘の物語。