16歳のセアラが挑んだ最強の暗号

16歳のセアラが挑んだ世界最強の暗号

16歳のセアラが挑んだ世界最強の暗号

16歳のセアラが挑んだ最強の暗号

暗号と聞くとスパイやら戦争時の電文やらの雰囲気が漂ってくるが,実際のところ,電子メールやらパスワードでも使われている技術のようで,その基礎に数論の各種定理が使われているそうです.
フェルマーの定理やらオイラーの定理やらエラトステネスの篩いやらってのはうきよの物事とは関係のない数学上の話とばかり思っていましたが,いまでは生活に欠かせない技術に結びついているということです.
おもしろいですね.数学なんて何の役に立つの?って,中学やら高校では学生が思っているでしょうし,特に数論なんて,数学の女王といわれているだけあって,ほんと,役に立たなさそうなのですが.

本書は,アイルランドの16歳の女子高生が,新しい暗号技術を開発して有名になるという実話です.著者はその女子高生とその父親.父親は大学で数学の教授をしています.ところどころ数学の話が数式を用いて挟まってきます.これがないほうが読みやすいという人もいるでしょうが,かなり丁寧に説明してくれているので,頑張って読みましょう.でも,「行列」のところはよけいだったかも.

とは言え,一般的には実用とは無縁と思われている数論と暗号技術のつながりをおもしろ可笑しく説明してくれているこの本は,中学生くらいから,数十年前に数学が好きだった元中学生まで楽しんでもらえると思われます.