沈まぬ太陽

山崎豊子の「沈まぬ太陽」を読了.厚めの文庫5冊はかなり濃かった.しかも内容がまた濃厚で.やはり「白い巨塔」の原作者なわけで,組織内のどろどろがこれでもかとばかりに綿密に描かれます.今回の舞台は元半官半民の某航空会社.正論を言って社内でにらまれたら生きていけない,魑魅魍魎ばかりの世界が描かれます.正直,これ読んだらこの航空会社乗れないよ.恐くて.前半2冊は主に社内の派閥闘争が描かれます.中間の3冊目は,あの御巣鷹山での墜落事故を軸に描き,後半4,5冊目は,社内の腐敗とあわせてお役所と政治家との汚職まみれの生活が描かれています.どこの業界も大なり小なりこんな情景が認められるのでしょうが,これはひどい.関わりたくないなと思いながら,それもきれい事かなと.最後に主人公がまたもや報復人事でアフリカに飛ばされてしまうのが,もの悲しいというか,理不尽というか,後味の悪い終わり方です.

1年ほど前(でしたっけ?),JALが小規模な事故を連発したことがありましたが,さもありなんって感じですかね.ああ恐い恐い.

効率が最優先,許認可事業でお役所がらみ.正論が通じない,公開性が低い,こういう会社はだめということかなと考えたら,JRも一緒だと思うわけです.去年のあの大事故にしても,効率第一で分刻みの非人間的な体制から生み出されたものだろうと思うわけです.

国内,交通機関では移動できないね.

沈まぬ太陽については,ここやらここやらここやらここやらここやらここやら.