英検1級

英検1級

中学生の時に4級と3級に合格していたがそれ以来ご無沙汰で、会社に就職した年に思い立って準1級を受験した(10年前)。このときは1級と一緒に受験したが、準1級は何とか合格、1級は不合格だった。1級は全然歯が立たず、特に記述式リスニングはほとんど白紙、語彙試験は勘がすべてという有様だった。で、それ以来英語の勉強はほとんどせずにいたわけだが、3年ほど前に仕事で米国に出張した際に英語がまるでだめで痛い目にあってから再度勉強を始めることになった。そういったお勉強はのぞいても、原語のペーパーバックを読んだり、洋画を見たりするのは好きだったので、自然と英語にふれる機会は多かったと思う。英検1級の語彙試験が難しすぎるという声をたまに聞くことがあるが、実際のところ、雑誌等でよく見かける語彙も含まれていると思う。そういう意味でも、試験法が変わったこの10数年ほどの英検1級試験は結構実用的な試験じゃないかと思う。そして合格して思うのは、このレベルの英語力が、実際のところ仕事に使える最低レベルの英語力だろうということだ。まだまだ先は長い。

(1次試験)
1)語彙
評判の語彙試験。4択だがかなりきわどい選択肢ばかりなので、自信を持って答えるのは難しかった。買った教材はいろいろ多いのだが、役に立ったのは、「1100Words You Need To Know」「Wordplay : 600 Words You Need to Know」「 TOEFLテストイディオム大特訓 TOEFLテスト完全攻略シリーズ」。結局のところ、本番でも4つの選択肢から2つに絞るのは簡単だったが、一つに絞るには自信がなかった。とはいえ、このレベルの単語を見慣れていたせいか、それでも意外と得点できており、21/30点と自分としては上出来だった。このレベルの単語を覚えるには上記のようなレベル高めの教材を音声教材を含めて複数やっていくしかない。1冊だけだとカバーしきれないし、複数やれば重要単語は重なっているのでいやでも何度も見ることになる。とはいえ合格してからも上記の教材は勉強しないといけないだろう。

2)読解
これは対策というほどのこともなく、普段からどれだけ英文をよんでいるかが一番重要だろう。よくオンラインで読んでいた雑誌は、Economist,Sceientific American,Foreign Affairs,Wired,Business Week.特にイギリス系の雑誌や新聞は論旨を把握する訓練によかったような気がする。この手の雑誌を時間をかけて毎日読んでいれば、本番の文章もそれほどひるまずにすむだろう。結果は36/40。2問間違えているが今回の試験は結構難しかったようで、この程度でも得点源になっているようだ。

3)大意要約
この問題に悩まされる受験者は多いだろう。どうも採点基準がよくわからない試験である。今回の試験前に、半年ほど1級対策の通信講座(CEL)を受講していて、毎回結構得点できていた(だいたい8点ほど)。本番で気をつけたのは、一読して理解できるようなわかりやすい日本語にすることと、段落ごとにまんべんなく盛り込むことだった。しかし、結果は5/10で、余りよい結果ではなかった。とはいえこの問題、全体平均が5/10に対し、合格者平均が6/10だから、それほど力を入れすぎる必要はないかもしれない。

4)手紙作文
仕事で普段からe-mailを使うことが多く、自然と必要な表現は覚えることができていたようだ。それ以外にも、できるだけ英文にふれて表現を覚えておく必要がある。1冊emailや手紙文の例文集を読んでおくとだいぶ楽になるだろう。英会話学校で添削もしばらく受けたこともあるが、Yahoo Chatで英文チャットをやったのがけっこういいアウトプットになったようだ。普段から自分がしゃべっている日本語が英語でどのように英語で置き換えることができるか考えて調べておくといい勉強になる。結果は10/10。

5)リスニング
10数年前に受験したときはさっぱり聞き取れず苦労した。対策はrepeating等の通訳学校でよくやる練習法を組み合わせて勉強することだろう。一番大事なことはあきらめずに勉強を続けること。続けていれば不定期に理解力は上がっていく。近道はないのだろう。教材としてはTOEFLTOEICの対策本がよかったような気がする。「TOEFLTESTリスニング完全攻略」「TOEIC FRIENDS」等。これらを選択肢に頼らずに自分で英文を作って答える練習をしたこともある。結構記述式リスニング試験のいい練習になった。1年ほど、茅ヶ崎式教室にも通っていたが、そのときに結構リテンションやメモの取り方が上達したようだ。ただ、茅ヶ崎式は教材が少々退屈だった。また、映画はできるだけDVDを利用して英語で見るようにしていた。字幕をみて表現をチェックしたり、ディクテーションをしたりすると試験に関係なく役に立ちそうだ。得点は25/32。記述式は満点だった。ただ、それでも未だにドラマの英語は聞き取れない。半分も聞き取れない。

6)1次試験全般
今回の受験では回答を終了して見直しが終わったのが、終了5分前だった。回答の順番は大意要約→手紙作文→読解→語彙の順だった。語彙は悩んでもでてこないので最後にまわした。一番頭を使うのは大意要約と読解だからこれに時間をかけるようにこのような回答順をとったわけだ。これはよかったのではないかと思う。5分間はリスニングの選択肢を眺めて予習ができた。


(2次試験)
1次の合格をオンラインで確認してから2週間ほどだろうか。以前から2次の過去問はチェックしていたのでどのような問題が出題されるかはわかっていた。対策としてはとにかく日本語でもいいので、話す内容を作っておくことだった。具体的にはYahooJapanのNewsは最近のニュースが広範囲にわたって項目別にまとまっているので、すべてチェックしてまとまった文章を作っておいた(論点ノート)。これをやっただけで試験当日を迎えることになった。試験が終わってから試験の様子を記録しておいたのでそれを以下に記す。

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英検2次試験の受験日(2003/02/23)。結局できたのは日本語の論点ノートだけ。英語にはなっていないし、要点もまとまっていない。試験場の京都YMCAに到着して受付をすませ、控え室に移動。やはり1級は平均年齢が高そうだ。席順なので1番に受験することになる。午後の部の最初だったわけだが、試験室の前に座ってると試験官達がずらずらと歩いて部屋に入っていった。事前に試験官の顔を拝めたのはラッキーだった。一人はにこやかな日本人。もう一人はきむづかしそうな外人。タイムキーパーは女性。

部屋に入り、"Good afternoon"と挨拶を交わす。この際eyecontactを試験管二人にそれぞれ。席に着くように促されたので席に着く。自分のことを話すようにとの指示だったので、住所と仕事のことを簡単に話す。しかし簡単すぎたようで、"仕事の内容はConfidentialか?”とつっこまれた。もう少し話を用意しておくべきだった。仕事で外人とコンタクトをとることがあるかとの質問もあった。つづいて暇なときに何をしていますかとの質問。”映画が好き”と返事。これももう少し話をふくらませるべきだった。続いて机の上のカードをめくるよう指示された。

課題の中ですぐ目に付いたのは、"Human cloning"と"Increasing unemployment rate in japan"の二つ。これはある程度予想がつきやすい課題だったかもしれない。すぐに"unemployment"を選択することにした。

スピーチは以下の流れ。
1 現在の日本では失業率が増え続けていて問題になっている。これには以下のような問題がある。
2 一つは失業率の増加スピードが速すぎる点だ。そのせいで失業者が次の職を見つけることができない。
3 もう一つは企業の間違ったリストラ概念だ。間違った能力主義のせいで、首切りが横行し、従業員のやる気が失われてしまう。これは問題だ。
4 現在の失業問題には以上のような問題点がある。

スピーチとしての組み立てはともかく、かなり焦ってしゃべっていたような気がする。それでも3まで終わったところで、2分経過したが、止められることはなく4まで話をさせてもらった。eyecontactは交互に二人にとり続けることができた。しかしやはり普段から大きい声で話をする練習が必要だろう。いずれにしても普段の英語会話力がそのままでてくる試験だ。表現力(含 ボキャブラリー)が全く不足していることを実感した。

その後質疑応答。いろいろ質問されたが、記憶が定かでない。ただ役割として日本人examinarはやさしめ、外人examinarはつっこみという感じだった。おそらく質問に十分に答えることができていないものと思われる。

1 対策はないのか?企業内での職の流動化を答えたが、企業内か企業間か明確に理解してもらえたか不明。
2 新しい職を見つけるのは難しいのではないか?だから企業内で職を流動化させるのです。これはジョブシェアリングを説明すべきだった。
3 自営業の割合が日本は少ないですね?少ない理由を明確に説明することはできなかった。また対策として政府の補助金などを説明したが、これに対しては、すべて建設業に行くのではないかとのつっこみがあった。これに"No"と反論を試みたが、十分ではなかった。

等。

最後は、"thank you"で終わったが、この際も二人ともにeyecontactを忘れるべきではないだろう。

それにしても後から後から不十分なところが思いついてしまう。ある程度予備知識のあった失業問題でもこのありさまだから、十分な用意がないと全然だめだろう。思いつきでは歯が立たない試験だ。

今後の対策としては以下のようになる。

1 過去問を含むトピックを日本語の文章にまとめる(論点ノート)。
2 論点ノートの英語化。
3 論点ノートの要点とキーワードでフローを作る。
4 フローをすべて暗記。
5 普段の英会話でも、スピーチを意識して、センテンスで会話を論理的に組み立てるよう練習する。

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で、2次の結果が届いた。セクション1/2/3/4とアチチュードが8/9/8/9/3で合計37/43である。合格点が25点だから比較的よかったほうなのだろう。当日の自己評価とは偉い違いだ。この点数からすると、英語を流ちょうに話せるかどうかというのは採点の基準にはないのだろう。それよりも、課題に対する自分の考えをどのように組み立てて説明できるか、どのようにコミュニケーションをとろうとするかというところを評価しているのだろう。でなければ僕ぐらいの英会話力(もろ日本人英語)で受かるはずがない。そういう意味では、英検1級といっても、別に留学経験がなくてもなんとかなるレベルの試験ということだろう。

以上、ながながと記してきたが、お役に立てば幸いです。

<追記>
その後「優秀賞」の賞状が送られてきました。